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猫と野球と12星座に愛を注ぐAmi-Gonのブログです。 主に12星座(+他の星座)の"暗め"の物語を書いたりしてます。
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病んだ感じの話書きたいな~と思って書いた。後悔はしていない。
羊牛って幸せほのぼのしてそうなカポーだけど、なんかこういう系も似合う。
水魚とは似てるようでなんか違う感じが好き。
でも個人的に一番こういうのが似合うのは天蠍だと思う。流血系も鬱系も。

とりあえず、牡牛が病んでて、牡羊がいろいろと大変です。
この二人は、牡羊が牡牛を振り回してるように見えて、
意外と牡牛も牡羊を振り回してるって感じの関係が好きです。





・+・+・+・+・+・





「牡牛は本当に可愛いなぁ」



牡羊がそういったのは、今から数日前の朝方。
目が覚めて、皆で食事をとって、身支度をして、出掛ける頃に。
いきなりなんなんだと言いたくなった。
でも、牡羊は少したりとも牡牛を見てはいなかった。
視線の先には、大画面のテレビに映る女優達。



「やっぱ、俺の牡牛が一番可愛い。」



一度だけ振り向いて笑うものだから、牡牛も返すように笑った。
「なんですか、それ」と、半ば呆れているかのように。
でも、牡羊は気づいていない。
その笑顔は、酷い作り笑いなのだと言う事。





*****





それから数日後のこと。
その日は、牡牛が夕食当番の日だった。
スーパーで材料を買い、屋敷に戻ってはすぐに支度をした。

双子は友人の家に泊まると言って帰ってこない。
蟹は委員会の用事が長くなるので、遅くなる。
獅子は教師として蟹の付き添いをするらしい。
乙女は部活のミーティングをした後、友人と夕食を食べて帰ってくる。
天秤は仕事が忙しいから、人間界での実家に戻る。
蠍と射手は天秤の家に行きたいと言ってたので、おそらく泊ってくる。
山羊と魚は水瓶の研究(?)材料を買う付き添いをしてる。
水瓶は多分、あちこちの店を回るだろうから、遅くなる。

ここまで重なると、誰かが仕組んだのではないだろうかという気分になる。
もちろん、ただの偶然なわけだが。

牡牛が夕飯を作っていた時、屋敷の中にいたのは牡牛一人だけ。
唯一なんの連絡をもらってない牡羊が、帰ってきてなかった。
牡羊は大雑把だ。だから、こういう日は少なくない。
しかし、夕飯はいらないというメールも来ないので、帰ってくる事だけは明確だ。



材料を切る為に、まな板と包丁を取り出した。
しかし、そこで手がふと止まった。
銀色に光る包丁が、自分の姿を捕らえて映し出す。



『牡牛は本当に可愛いなぁ』



この前言われた、牡羊の言葉が頭を過った。
その後見た、優しく暖かい笑顔と一緒に。



(私が可愛い・・・?)



そんなはずはない、と牡牛は首を振った。



(こんなに醜いのに)



包丁がギラギラ光って、まるで自分を責めるかのように自分を映す。



(貴方が他の女性といるだけで、妬いてしまうような女なのに)



この前、テレビに映っていた女優は、自分が見惚れるほどに美しかった。
女性である自分でさえも、強く憧れてしまうほどに。
なのに、牡羊は「牡牛の方が可愛い」と言うのだ。
あれだけの美人を目にしておいて。



(もしかしたら、牡羊さんは、私に気を使って・・・?)



それはないと願いたかった。
いつも、自分自身のことで精一杯な状態で周りを纏めようとしてる男が、
自分の気を使って、「可愛い」などと言ってくれるはずはない。
そう思っていたかった。



―――ぽたり

―――ぽたり



考え事をしながら次々の包丁を動かしていたら、いつの間にか、指先を切っていた。
指先から滴る赤い血を見て、牡牛はさらに考える。
もしも、牡羊が、自分以外の女に興味を持ったら?
説得も、強制も、きっと自分には出来ないであろう、ということを。



少量を切っていた包丁を、持ち上げた。
少量の赤い雫に濡れた包丁を、自分の皮膚にあてた。



―――ざくり





*****





屋敷の中はシンと静まり返っていた。人の気配すら感じられないほどに。
しかし、牡羊も前もって、今日はみんないないという事を聞いていたので、
さほど驚いたりはしなかった。
今日、家にいるのは自分と牡牛だけ。
想い人と二人きり、なんてシチュエーションで、緊張しない人間などいないはずだ。
牡羊も、少々緊張で焦っていた。
実際、この広い屋敷で2人きりなんて、初めてだからだ。
人間界の自分の実家で、2人になることは山の数ほどあるのだが。



(大丈夫、大丈夫)



自分の部屋に戻り、私服に着替えて、リビングへと足を運んだ。



「牡牛?」



返事が無かった。
もしかして、まだ帰っていないのか?
そうも思ったが、それにしてはおかしい。
確かに、牡牛の靴はあったし、玄関も開いていた。
何処かにいるのだろう、と、捜す。

ふと思い出してみれば、今日は牡牛が夕食当番だった。
おそらく、台所で料理でも作っているのだろう。

台所までの廊下を歩く。
すると途端に、何故か重い気分になった。
それは何故?
それは、花の奥にツンとくる・・・、この臭い。
鉄臭い・・・、血のような臭い。



「・・・牡牛?」



台所の扉を開けると、目の前に飛びついて来たのは。





「・・・!?牡牛・・・っ!!!」



牡羊は牡牛に飛びつく。
牡牛は、地面に座り込んで、牡羊を振り向こうともしなかった。
それだけなら、焦ることはなかっただろう。

でも、地面のところどころにある、赤い血痕。
何処からどう見ても、牡牛が流したものだとしか思えない。



「牡羊、さん・・・?あぁ、帰って、たんですね。」

「牡牛・・っ!どうしたんだ、何が―――」



次に、目に飛びついて来たのは、
彼女の白く美しい手首にできた、いくつかの傷跡。
いうなれば、これはリストカットというものだろう。

牡牛はやんわりと笑う。
まるで、何事もなかったかのように、優しい笑みで笑う。



「あぁ、御免なさい・・。ご飯、まだできてないんです。すぐ、作りますから。」

「そんなことはいい!!何があったんだ・・!誰かに、何か言われたのか!?」



牡羊は問い詰めるかのように牡牛に言い寄る。
でも、牡牛はゆっくりと首を横に振った。優しい笑みを浮かべたまま。



「これは私がしたくてしただけです。」

「したくてって・・・―――」



自ら望んで、そんな事をしたと言うのか?何の為に?

そう言いたい牡羊の気持ちを察したかのように、
牡牛はゆっくりと口を開いた。



「私、牡羊さんが好きなんです。」



腕から滴る血を見つめながら。



「だから、牡羊さんがもしも、他の女性を好きになってしまったら、
 多分私は、とてつもない苦しみと痛みを伴うと思うんです。」



―――ぽたり

―――ぽたり



「だから、―――痛みに慣れる練習を、してたんです。
 この痛みに耐えていれば、その時がきても、きっと耐えられるって。」



牡羊の目が、カッと見開かれた。
優しい牡牛の目に、水のようなものが溢れているのがわかった。

それを見て、何故か牡羊の方が先に、目から涙を流した。
ぼたぼたと、とめどなく溢れる雫を、その手で拭おうともしなかった。



「そんなこと、言うな・・・っ」



そして、小さく震える彼女の体を、優しく抱きしめた。
敏感な物に触れるかのように、優しく、丁寧に。
相変わらず流れ続ける涙が、彼女の肩に、手に、あちこちに落ちていった。



「牡羊さん・・・?なんで、泣いてるんです?」

「俺は、お前以外好きにならねーよ・・・。」



自分が慰めてるのに、自分が悲しんでしまう。
何と言う矛盾。でも、牡羊は牡牛の背中を、優しく撫でた。



「俺の好きな女は、お前だけだよ・・・。」



そう言うと、今度は牡牛の目から、涙が流れた。
堪えていた分だけ、沢山の雫が頬を伝って、そして落ちていった。
牡牛は血に濡れたじぶんの腕を、牡羊の背中にまわした。



「牡牛、傷の手当てをしよう。夕飯は俺がなんとかするから。」

「・・・でも、」

「いいから。・・・だからもう、こんなことすんな。」



優しく抱いていた腕を、少しだけ強くして、牡羊は言った。
強くも優しい、牡羊の言葉に、牡牛は静かに、頷いた。





I need you
(私は貴方に、必要とされなければならない)




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